鎖骨と肋骨の観察
まず初期の段階では、長軸(脊柱)に対しての捻れ方を把握することから練習を始めます。
また、骨格の歪み(骨動揺)を観察するときには先入観を捨てて、まっさらな心で観察できるよう訓練してください。
- まず、骨格の歪みを確認する上で、第1から第5肋骨の位置を把握するために、手指を当てて一通り確認します。被験者が女性の場合は、胸へのタッチに気をつけて胸骨付近にタッチするのが良いでしょう。
- 鎖骨の観察では、両手手指の母指を肩甲骨付近において動作の支えとし、できれば中指を中心に手指で鎖骨を捉え、右(CW)と左(CCW)に軽く動かします。そして、自分の動かす手指をすんなり受け入れて動く方向を確認します。
この場合は、右に動きますし、左に動かすように力を加えますと、その力に抵抗して反発する力が返ってきます。ですから、鎖骨は右(CW)に歪んでいると判断します。
次に、左右の鎖骨における影響部と被影響部を確認します。
この場合の影響部と被影響部の考え方は、以下の通りです。
左右一対としての鎖骨はCWへの歪みですが、左鎖骨か右鎖骨のどちらかがCWに歪んでいるので鎖骨全体がCWに歪んでいると考えます。ですから影響部と被影響部を判断するときには、どちらかの骨の歪みを正した状態にしたときに他方の骨が歪むかどうかを観察します。ビデオでは、左鎖骨の歪みを左手で正して(止めて)、右鎖骨がCWに動くかどうかを観察しています。結果として右鎖骨はCWに動いています。ですから、左鎖骨の状態に関係なく右鎖骨はCWに歪んでいることがわかりました。
次に反対を確認するために、右鎖骨のCW状態を正した上で左鎖骨がCWに歪むかどうかを確認します。結果として左鎖骨はCW状態になりませんので、左鎖骨は右鎖骨の歪みの影響でCWに歪むと判断することができます。
ですから、鎖骨がCWに歪んでいることにおいては、右鎖骨が影響部で、左鎖骨が被影響部であると断定することができます。
- 次に第1肋骨の確認です。
第1肋骨は胸鎖関節のすぐ下で触れることができますが、すぐに後方へカーブしていますので、通常は「しっかり触る」ことはできません。ですから、指先の感覚をより繊細にする心構えで観察を行ってください。左右両側の第1肋骨の歪み方も鎖骨同様CWです。
そして左第1肋骨のCWの動きを止めた状態で、右第1肋骨の動きを観察しますとCWに動いてしまいます。
反対に右第1肋骨のCWの動きを止めますと、左第1肋骨のCWの動き(歪み)は消失します。
ですから、右第1肋骨のCWの歪みが影響部であり、左第1肋骨が被影響部となりますが、左右両側の第1肋骨のCWの原因は右第1肋骨にあることが分かります。 - 第2肋骨の観察において、左右両側の第2肋骨は第1肋骨とは反対にCCWの歪みをしています。
左第2肋骨のCCWの動きを止めた状態で、右第2肋骨の動きを観察しますとCCWに動いてしまいます。
反対に右第2肋骨のCCWの動きを止めますと、左第2肋骨のCCWの動きは消失します。
ですから、右第2肋骨のCCWの歪みが影響部であり、左第2肋骨が被影響部となりますが、左右両側の第2肋骨のCCWの原因は右第2肋骨にあることが分かります。 - 第3肋骨の観察では、第2肋骨同様左右両側の第3肋骨はCCWの歪みをしています。
左第3肋骨のCCWの動きを止めた状態で、右第3肋骨の動きを観察しますとCCWに動いてしまいます。
反対に右第3肋骨のCCWの動きを止めますと、左第3肋骨のCCWの動きは消失します。
ですから、右第3肋骨のCCWの歪みが影響部であり、左第3肋骨が被影響部となりますが、左右両側の第2肋骨のCCWの原因は右第3肋骨にあることが分かります。 - 第4肋骨の観察では、左右両側の第4肋骨は第2・第3肋骨とは反対のCWの歪みをしています。
左第4肋骨のCWの動きを止めた状態で、右第4肋骨の動きを観察しますとCWに動いてしまいます。
反対に右第4肋骨のCWの動きを止めますと、左第4肋骨のCWの動きは消失します。
ですから、右第4肋骨のCWの歪みが影響部であり、左第4肋骨が被影響部となりますが、左右両側の第4肋骨のCWの原因は右第4肋骨にあることが分かります。 - 最終的な影響部を特定
これまでの観察で、鎖骨および第1~第4肋骨の歪み影響部はすべて右側であることがわかりました。
ですから今度は、上記の骨の中での影響部と被影響を観察し、最終的にどの骨格を修正すれば全体が整うのか? という段階に進みます。第1肋骨と第2肋骨を比較することから始めますが、第1肋骨と第2肋骨では、第1肋骨が影響部であることが分かりました。
ですから次に、上記の影響部である第1肋骨と第3肋骨を比較します。
(上記で仮に第2肋骨が影響部であれば、第2肋骨と第3肋骨を比較することになります。)この比較においても影響部は第1肋骨であることがわかりましたので、次に第1肋骨と第4肋骨の比較に進みます。そしてこの比較においても第1肋骨が影響部であることがわかりましたので、第1肋骨~第4肋骨の歪みの最終的な影響部は第1肋骨であり、第1肋骨のCWの歪みが修正されれば、これらの肋骨はすべて整うと判断することができます。つまり施術して修正すべき対象は右第1肋骨となります。
(ビデオでは鎖骨と肋骨の比較を行っていませんが、右第1肋骨のCWの歪みと鎖骨の影響部である右鎖骨のCWの歪みを比較して、影響部と被影響部を決定して、影響部の方を修正するよう施術に進みます。)