実践的な知識を

 私たちは、しっかりとした技量を身につけた整体師、あるいはセラピストを目指していますが、そのために学ぶ必要のあることはたくさんあります。
 他者の肉体に対して施術を施すわけですから、一定程度の解剖学、生理学の知識は必要不可欠です。
 解剖学にも生理学にも、そして私たちの仕事に関連する領域には溢れるほどの情報と知識がありますので、多くを学ぼうと思いますと大変な作業が待ち構えていることになります。しかし、私たちにとって必要なのは施術に活かすための実践的な知識と情報です。

 ですから、このサイトでは実践的な知識と情報に重点をおいて取り上げていきます。
 それは時に、「一般的な知識」「常識的な考え」という既成概念からは逸脱している場合もあります。しかし、常に「実践に役立つ」という観点から発信しておりますので、その点をご理解ください。

 さて、細かい理論や方法論につきましては追々学ぶとしまして、まず私たちが身につけなければならない知識について以下に列挙します。
 それぞれの詳細につきましては、後ほどリンクをクリックして確認してください。

第1の心構え‥‥決してからだを傷つけない

 整体的施術方法にはいろいろな種類と手技、療法があります。
 骨格に直接アプローチするカイロプラクティックや骨をボキボキ鳴らすような施術、木槌で叩いたり、筋肉や筋膜を引っ張るよう施術、小顔整体と称して行われる頭蓋骨を直接動かすような施術、あるいはマッサージのように優しい施術、アロマを主体としたセラピー、‥‥。
 どの手法もそれぞれの適切な理論、理屈に基づた確かな技術力で施されるのであれば、どの手法が優れていて、どの手法が劣っているとか、間違っている、という価値判断は無用です。しかしながら、どんな手法であっても安全であることが何よりも重要です。
 その手法がいかに効果的であったり、特殊であっとしても、一歩間違えればからだを傷つけてしまうようなものであってはならないと私は考えます。

迷ったときの対処

 実際に施術の現場に臨みますと、難解な問題とか、自分のレベルでは処理できない問題に出くわすことがあります。心に迷いが生じますが、その時、施術者がどう考えるかは非常に重要です。
 「よく解らないけど、マニュアル通り、習った通り、理屈のままにやろう」と考えて既定路線の施術を進めていってしまうことは、正しい在り方ではありません。
 「てきとうにこなしてしまおう」といい加減に対応して、無難に逃げる姿勢も良くありません。

 まずは安全性を優先させ、その範疇でからだからの反応を繊細に感じながら、からだからの訴えを正面から受け止め、真摯に応える態度で臨むのが私たちセラピストの在り方だと考えます。
 私自身の経験から申せば、そういう姿勢が自分の技術力を向上させる道であり、施術の可能性を拡げる道です。
 繰り返しになりますが、からだをいたわる心構えで、何よりも安全性を優先させることを考えてください。

からだの痛みや不快感

 どのような類の整体師やセラピストを目指すかで、取り扱う症状の傾向は異なりますが、「痛み」「不快感」については一通り学ぶ必要があります。

痛み

 私たちが日常生活において感じる痛みのほとんどは筋肉が発する痛みです。つまり「痛み」とは筋肉にそなわっている深部感覚であると言うことできます。
 皮膚の痛点が針先などによって刺激されて感じる痛みがありますが、それは普通の人の日常生活ではほとんど経験することのない痛みです。ですから、私たちの取り扱う痛みとは違います。この分別が曖昧なままですと、痛みに対する対処法が解らなくなってしまいますので、しっかりと理解する必要があります。

からだが痛む理由 参照

不快感

 私たちが取り扱う“痛み”のほとんどは「筋肉の深部感覚に集約できる」というのとは違って「不快感の原因は○○に集約できる」と原因を特定することはできません。
 便秘や下痢によって不快感を感じる場合もあれば、消化不良で不快感を感じる場合もあります。
枕が不快に感じる場合もあれば、腰が硬くて不快な場合もあります。肩関節がしっくりしないとか、膝が腫れていて不快に感じる場合もあります。このように不快感を感じる症状や原因はたくさんあります。

 ですから、「不快感を取り除いて欲しい」との訴えがあった場合、私たちセラピストは、その不快感は「何処から来ているのか?」「何によってもたらされているのか」、そして「その原因は何なのか?」という二段階の思考を働かせる必要があります。
 たとえば「胃が不快だ」という訴えがあった場合、胃そのものに問題があるのか、あるいは骨格が歪んでいたり、筋肉の働きが悪くて胃の働きを阻害しているのか、あるいはお腹が冷えていて内臓全体の働きが悪く消化不良の状態になっているのか、などと不快感を感じる症状を具体的に特定する作業から入らなければなりません。
 そしてその上で、その症状の原因を取り除いて解決する手段を講じるようにしなければなりません。
 胃そのものに問題があると原因を特定したら、胃のツボを刺激するなどの手段を講じます。
 骨格が歪んでいたり、横隔膜の働きが悪かったり、内臓下垂の状態になっていて胃の動きが制約を受けていて不快感を感じるのであれば、それらを改善するための手段を講じます。
 お腹が冷えていることが原因であると判断したのであれば、それに対応する手段を講じます。
 「不快感」というのは感覚的な症状ですから、それを施術につなげていくためには、主観的で感覚的なものを、客観性のある合理的なものに分解していくアプローチが必要です。
 ですから、セラピストはそのような思考回路を身につける必要がありますが、これには訓練が必要です。

からだの不具合

 何かの「動作ができない、できづらい」という症状は不具合に分類されますが、私たちが取り扱う範囲では、骨格と骨格筋が主な対象となります。
 そして実際の臨床(営業面)では、「痛み」と「不具合」がもっとも多い症状ですから、筋肉(骨格筋)とそれを包む筋膜、そして骨格と筋肉の関係、骨格の歪みと不具合については、詳細に、正確に学ぶ必要があります。

動作の不具合に関して、まず知って欲しいこと 参照

リラクゼーション

 心理的、肉体的に緊張状態から解き放たれてリラックスした状態をリラクゼーションと呼ぶようです。
 この状態は、自律神経的には交感神経が静まって副交感神経が優位になっっている状態を指しますが、私たちの行う施術はリラクゼーション状態を実現する力を持っています。
 ですから、緊張が強いられる現代社会において、顧客の緊張状態を開放することのできる私たちの技術は「社会貢献に役立つ技術である」と言うことができます。

皮膚への刺激はリラクゼーションにつながる

 ところで、私たちのからだは受精卵から始まりますが、成長(細胞分裂)の初期の段階で3つの胚葉ができます。その3つは内胚葉、中胚葉、外胚葉ですが、私たちの神経は外胚葉であり、皮膚(表皮)も外胚葉です。

 つまり、皮膚と神経は直につながっているわけですし、もっと言えば「同じモノ」であると考えることができます。ですから、ゆるいマッサージなどで皮膚を適度に刺激することは、神経に直接働きかける行為であると考えることができます。
 私たちが行う皮膚への施術は直接自律神経に働きかける手段であり、副交感神経優位のリラックス状態をもたらすことができるのですが、それは理にかなっていることなのです。

内臓系と体壁系と脳 参照

呼吸の大切さ

 リラクゼーションが実現された状態の特徴として、「穏やかで、深く心地良い呼吸」があります。
 呼吸が理想的な状態であれば、呼気(吐く息)に合わせてからだは弛み(伸び)、吸気に合わせてエネルギーが補給されるようなサイクルがゆっくりと繰り返されます。。
 また、呼吸のリズムに合わせて筋肉はゆっくりと伸びたり縮んだりを繰り返しますが、その工程は「自ら行うマッサージ」のようでもあります。
 ですから、リラクゼーションにとって呼吸の在り方は非常に重要です。私たちセラピストは、このことをしっかりと意識しながら、技術力を向上させて呼吸を理想的な状態に近づける術を身につける必要があります。

呼吸とからだの動き 参照

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